元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 完全に獣と化したシュクルはそのまま殺戮を始める。

 身動きを取れないティアリーゼの耳に、人々の悲鳴が届いた。

 かすむ視界に喜々として人間を狩る獣の姿が映る。凶悪なほど鋭い爪に切り裂かれた兵士の断片が目の前の地面に落ちた。

「み……見掛け倒しだ! 奴は弱い! 自分でそう言っていたんだからな!」

 エドワードの声が虚勢を張っているように聞こえるのも無理はない。

 そう言っている間にも、シュクルは人間を食い殺していた。

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