元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 だが、集められた兵の数は多い。多対一では限界があった。

 次第に白銀の竜の身体に傷が増えていく。死体の数が増えようと、それに比例してシュクルの血も流れた。

「はは、ははは! いいぞ、その調子で魔王をやれ! そうすれば俺が勇者になれるんだ!」

 エドワードが攻撃の届かない場所で兵たちを追い立てる。

 勇なき姿を誰が勇者と呼ぶものか。しかし今、それを伝える人間はいない。

(私が……止めなきゃ……)

 気を抜けば意識が飛びそうになるのを、歯を食いしばって耐え、立ち上がる。

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