元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
(本当に、上手に自分の気持ちを伝えてくれるようになったわ……)

 シュクルは戸惑いながらティアリーゼの頭を撫でる。その手つきは、彼女の父とも兄とも違う、心から愛おしい人に触れるものだ。

「私、あなたのことが大好きよ」

「私もお前が好きだ」

「一瞬だけでもいいと言ってくれるなら、あなたの永遠を私にちょうだい」

 永く生きるシュクルにとって残酷な言葉だが、当の本人はけろっとして答える。

「構わない。もとより、私はお前のものだ」

 見上げたシュクルは笑っていた。

 ティアリーゼを大切に思う気持ちが、その表情にすべて表れている。

< 394 / 484 >

この作品をシェア

pagetop