元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 東の大陸が神秘の地だということは耳にしていた。

 噂によると、水晶の森や古代遺跡がいくつもあるらしい。足を踏み入れた人間はいるが、無事に戻ってきた人間もいないと言われており、よほど命知らずな探険家でもない限りは近付こうともしない場所だった。

 そこに、不死の泉があるとキッカは言ったという。

 どんなときにその話をしたのかはともかく、シュクルは記憶していたのだろう。ティアリーゼと共に永遠を生きられる可能性を見出して。

(シュクルには敵わないわね)

「本当に不死の泉があったら嬉しいけど、あっさり思い通りになったら、私の決意はなんだったのかしらってならない?」

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