元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 トトに確認すれば、彼ら使用人たちはそうして動き回ることこそを生きがいとしており、魔王に生涯を捧げるのが幸せだとのことだった。

 シュクルには当然、わからない。そもそもあまり魔王としての自覚がないせいで。



(……これはティアリーゼの好きなもの)



 並んだ皿のひとつに、赤い木の実が飾られた菓子があった。

 ティアリーゼが共に食事をするようになってから、こういったいわゆるデザートと呼ばれるものが供されている。

 なんだかよくわからない味がするため、シュクルは正直好んでいない。

 ただ、それを食べて嬉しそうにするティアリーゼは好きだった。

< 456 / 484 >

この作品をシェア

pagetop