元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 甘いものが好きだ――と言っていたが、シュクルが甘いと感じるのはティアリーゼと、血の滴る生肉である。言っては叱られるような気がして言えていないが。

 支度が整うと、シュクルはひとりぼっちの食事を始めた。

 ティアリーゼを待つという発想はない。シュクルは自分の気の向くままに行動し、周りの者もそれに合わせる。そういった生活が当然だったためだった。

 眠っているティアリーゼを起こすのも気が引ける。だったら自分だけで構わないと思うが、それはそれで寂しかった。

 ティアリーゼがいれば話し相手になってくれる。

 シュクルは会話を得意としていないが、ティアリーゼの声を聞くのは好きだった。

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