元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 初めて会ったとき、翼をむしったらどうなるかと考えていたことは言っていない。キッカが初期のシュクルを恐れていたのは、そういったことを本能で察していたからなのだろう。

 かたん、と聞こえた音に顔を上げる。

 ティアリーゼがやってきた――と気付いた瞬間、シュクルの尻尾は本人が顔に表情を作る前に大暴れした。



「おはよう、シュクル」

「おはよう、ティアリーゼ」



(これも好きだ)



 ティアリーゼはシュクルと挨拶をしたがる。

 あまり他人に応えてもらったことのないシュクルは、このやり取りがお気に入りだった。



「起こしてくれたらよかったのに」

< 460 / 484 >

この作品をシェア

pagetop