元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「もとはと言えば王が悪いんです。この人間はあなたを殺しに来たとはっきり言ったのでしょう。なぜ、今もこの城に留め置いているのです? さっさと八つ裂きにでもすればいい」

「裂くつもりならとうにそうしている。ティアリーゼは柔らかいから」

(……なんの話をしているの)

「だから触るのは怖い。触りたいが」

「……王、腑抜けるのも大概にしてください。大体、あなたは」

「メルチゥ」

「っ、はい!」

 シュクルはトトの話を遮ると、じっとおとなしくしていたメルチゥに目を向けた。

 突然名を呼ばれたことに驚いたのか、ティアリーゼと出会ったときか、それ以上に身をこわばらせている。

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