元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 ティアリーゼにとってはありえないことでも、シュクルにはいつかの話として認識されてしまっている。

 それをどうやらトトも薄々察したらしかった。ティアリーゼとシュクルの間にある温度差を感じ取ったという方が近い。

「王の考えは我々に及ばないことだが、必要以上に近付かないと言うのなら、しばらくの滞在は認めてやってもいい」

「私が決めることでは?」

 再びシュクルが顔をしかめて言う。

「王がそういった些末事に心を煩わせることがないよう、我々がいるのですよ」

「言いくるめられている」

「言いくるめていますからね」

(この人も同じだわ。……レレンも私に対してこうだった)

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