元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 今も国にいるであろう教育係のことを思い出す。

 ティアリーゼにとってはよい師であり、小言の多いお目付け役でもあった。シュクルにとってのトトもそういう存在なのだろう。

 そう感じ、ティアリーゼは少し笑う。

 その途端、シュクルは尾をぴんと立て、そわそわしながらティアリーゼの顔を覗き込んだ。

「お前は笑わない生き物かと思っていた」

「そんなことないわ。私だって面白いことがあったら笑うわよ」

「覚えておく」

(今、一番面白いのはあなたかもしれない)

 そう思ったのはシュクルに言わないでおく。

 普通ならば気分を害しそうだが、シュクルなら面白いと言われて喜んでしまう気がした。

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