元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 そう聞いたシュクルは、以前ティアリーゼにどのようにして自分を殺すのかと聞いたときと同じ目をしていた。

 純粋な疑問。本当に人間の考えがわからないからそう聞いているのだろうと悟り、ティアリーゼも考える。

(どうして……かしら)

「王、そのようなことを人間に聞いてどうするのです」

「理由がわからなければ対処のしようもない。人間がなにかを求めているのなら、それを与えてやれば巣の平和は保たれる」

(……この人は本当に王なんだ)

 ティアリーゼの耳に入ってくる会話の内容は、いつものシュクルらしからぬものだった。

< 78 / 484 >

この作品をシェア

pagetop