元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「お前は人によって言葉を変えるのか」

「うーんと……なんて言うのかしら。亜人でしか通じない言葉を、私用に翻訳しようとしてそうなっているのかと思ったの」

「違う。……わかりやすく話せとはよく言われる」

(あ、言われるんだ。やっぱり)

「それなのにそういう感じのまま?」

「言葉を交わさずに過ごしてきた時間が長かった。今は学びの途中だ」

「……どういうこと?」

「私はまだ、雛らしい」

 シュクルはティアリーゼがひたすら困惑していることに気付かない。

 ティアリーゼもシュクルが本人なりになにかを伝えようとしている気持ちは理解していた。が、何事にも限界というものは存在する。

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