見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました


「どんな理由があれ、結衣さんをひとりにして不安にさせてしまった事実は変わりません。本当に申し訳ないことをしてしまった。彼女の信頼を取り戻せるよう、誠意を尽くしていきたいと思っています」


和哉さんの言葉を聞き、お父さんがわずかに表情を和らげて「そうか」と呟いた瞬間、リビングの隣、私たちが立っている後ろにある和室から「わあああん」と勇哉の泣き声が上がった。

子供の声に驚いて和哉さんが振り返ると同時に、半開きになっていたふすまの隙間から勇哉が泣きべそを覗かせる。


「ママァァ! どこいたの!」

「ごめんね、勇哉。ママいなくて寂しかったよね」


私はその場に両膝をついて、一気に駆け寄ってきた小さな体を両手で抱き止める。

勇哉と私の部屋は二階だけれど、お昼寝などの時は一階リビングに隣接している和室を主に使っている。

抱きしめた勇哉は寝起きの顔でもあるため、和室で眠っていたところ、私たちの話し声で起きてしまったようだ。

勇哉がふっと泣き止んだ。

見れば、不思議そうな顔で和哉さんを見上げている。初めて見る男性だから、お前は誰だとでもきっと思っているのだろう。

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