見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
やがて和哉さんも、私の隣に片膝をつく。唖然とした眼差しで、勇哉を見つめ続けた。
和哉さんの唇が微かに動いているが、何も言葉は出てこない。ここまで動揺している彼は初めてだ。
そっと和哉さんが手を伸ばす。まるでその存在を確かめているかのように、恐々と勇哉の真っ白でぷっくりとした頬に触れた。
すると勇哉はちょっぴり目を大きくした後、くすぐったそうに和哉さんへ笑いかける。
「きゃっ」と楽しそうな声を発して、私の肩に顔を隠すようにしがみついてきた。
「……あぁ」
和哉さんは泣きそうに顔を歪め、堪えきれない感情を声にして吐き出す。そして、私と勇哉ごと、ぎゅっと抱きしめた。
「結衣、大変だっただろう。こんな大事な時にひとりにさせてしまって、ごめん」
優しい声に胸をぎゅっと掴まれる。「家族が助けてくれたから平気だよ」。そう言おうとしたけれど、声が詰まってしまった。
もちろん家族の助けがあったから、こうして勇哉と一緒に何不自由なく生活できている。
私は恵まれているけれど、だからと言って不安がなかった訳ではない。この生活だって、今だけの話だからだ。