見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
ずっと家族に甘え続けている訳にはいかない。圭人にだって彼女がいるし、結婚の話も出ている。
お嫁さんをもらう前に私たち親子は家を出て自立すべきで、そうなった時、勇哉が頼れるのは私だけになる。
和哉さんとの間に授かった大切な命を、私がしっかり守っていかなくちゃいけない。
そう、これは私が選んだ道。だから不安な顔なんてしちゃいけない。
そう言い聞かせて、家族の前でもずっと気を張ってきたけど……。
「これからは俺も一緒だ。結衣、産んでくれてありがとう」
両肩にのし掛かっていた責任の重さが、ふっと軽くなる。
和哉さんが半分持ってくれた。そう思うと同時に、目から涙がこぼれ落ちていく。
「和哉さん!」
彼の手が私の頭に触れた。軽く引き寄せられるままに、私は彼の襟元に顔を埋める。声をあげて泣いてしまった。
夕飯を食べていけというお父さんのひと言で、和哉さんは帰宅せず、食事の席についた。
「どんな会社で働いているんですか?」とすっかり態度を軟化させた圭人が呑気に質問すると、和哉さんは慌てて名刺を差し出す。