見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
勇哉の髪を指ですきながら、半分寝ているその顔を見つめていると、スマホ片手に和哉さんが戻ってきた。
「遅かったね」
「すまない。スマホの電源を入れて、秘書からメールが来ていないか確認していたら、タイミング悪く母から電話がきて、受けてしまった」
「心配していたでしょ。大丈夫?」
「気晴らしに温泉に入りに来て、そのまま旅館に泊まることにしたと言っておいたから、問題ない。……寝てしまったんだな」
和哉さんも私の傍に腰を下ろし、完全に瞼がおりてしまった勇哉の顔を覗き込んだ。
「可愛いな。俺そっくりだ」
「可愛いよね。私の子供ですから」
小声で言い合って、揃って笑みを浮かべる。私は座ったまま和哉さんへと体を向けて、歯切れ悪く切り出した。
「さっきは、ごめんね。あんなに泣いちゃって、自分が恥ずかしい」
「いや。それほど我慢していたんだよな、本当にすまなかった」
また涙が込み上げてきて俯いていると、彼がそっと私の肩を引き寄せた。
「勇哉の話を聞かせてくれないか?」
「もちろん」
和哉さんの体にもたれかかったまま、私は三年前のことを話し始める。