見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました


「まだ言ってなかったよな。俺さ、実はまだ記憶喪失の振りしてるんだ」

「そっ、そうだったの?」


再会から二ヶ月も経っているから、もうとっくに話していると思い込んでいたのだ。

まさかと目を見開く私に、和哉さんは真剣な声で続けた。


「記憶が戻ったことを知っているのは結衣たちだけだから、もし八木沢の誰かが接触してきても、俺とは会ってないことにしておいてもらいたい」

「それは構わないけど……、どうして言わないの?」


問いかけてすぐに、自分で理由に気がついてしまった。

記憶が戻ったということは、私を思い出したということでもあり、それを告げるのはまだ早いと彼は判断したのだろう。


「ごめん、そうだよね。……うん、わかった。私の所になんて誰も来ないと思うけど、もし来たら黙っておくね」

「それはどうかな」


そう言って和哉さんが不敵に笑ったため、無意識に口元が引きつる。

企みに関して、流さずにもっとちゃんと聞いておくべきだったかもしれないと、ちょっぴり後悔した。

店にいる三人に挨拶してから、私たちは家の中へ。

さっそく勇哉はおもちゃのブロックを持ち出し、和哉さんとリビングで遊び始める。

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