見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました


「聞くけど、この近くに自殺の名所的なスポットは?」

「そんなのないわよ!」

「そっか。残念」


本気で残念がっている和哉さんに唖然としたあと、どんな情緒不安定者を演じているのかと想像する。

だんだんおかしく思えてきて、つい笑ってしまった。


「企みはほどほどにしてくださいね。怪我したり、具合が悪くなったりしたら困りますから」


手を伸ばして、和哉さんに抱きつく。胸元に頬をくっ付けて、ぴったりと密着する。


「看病したくても出来ないし、また和哉さんに会えなくなるのだけは絶対に嫌です」

「うん、わかってる」


和哉さんはキッチンの調理スペースにスマホを置くと、その手で私の頬にそっと触れる。

視線が絡み合えば胸が高鳴り、顔が近付くと体がじわり熱を帯びた。

軽く触れた柔らかな感触を、繰り返し確かめたくてたまらない。

高まる熱が欲望を膨らませ、味わうように唇を重ねる。


「このまま連れていってしまいたい」


ぎゅっと抱きしめてくる力の強さは心地良く、甘い囁きに体が蕩けてしまいそう。

私も恋しさを伝えるように、彼の背中へと手を回し、抱きしめ返した。

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