見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「和哉さん」
視線を上らせて、「好き」と目で訴えかける。すると薄い唇が弧を描き、深く淫らに私の唇を奪った。
わずかに吐息が漏れる中、水を差すように再び和哉さんのスマホが震え出す。
電話をかけてきたのは、やっぱり和哉さんのお母さんだった。
「和哉さん、あまり心配かけちゃダメだよ?」
わだかまりはあるけれど、心配だからこそかけてしまう気持ちは理解できる。
我が子のことだ、私だって勇哉の元気がないときは気が気じゃない。
けれど、和哉さんは肩をすくめただけで、あっさり言い放つ。
「それは、相手の出方次第だ」
私の額に口付けしてから、和哉さんはスマホを手に取り、ソファーへ向かう。
「良い夢を」と、寝ている勇哉の頭部にもキスをした。
「それじゃあ、よろしく頼むよ。俺もまたすぐに会いに来るから」
そう言って、和哉さんは玄関へ。私も慌てて追いかけて傘を渡そうとするが、彼は受け取らない。
雨の中、傘もささずに、散歩でもするかのような足取りで彼は帰っていった。
どんどん雨はひどくなり気温も下がっていったため、もしかしたら体調を崩したんじゃないかと落ち着かない。