見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
けれどその夜、和哉さんから電話がかかってきて、「まったく問題ないよ」と私の不安を吹き飛ばした。
しかも、「うまくいったかな」と楽しそうで、また「よろしく頼むよ」と帰る直前に言った言葉を私に繰り返した。
昼間は、「俺がいない間、勇哉を頼む」という意味だと受け取ったのだが、どうやら別な意図も含まれていたのではと想像してしまう。
肝心の意図を教えてもらえないまま一週間後、思いがけない人物の突然の訪問を受け、やっと彼の思惑に気付かされたのだった。
「ごめんください」
気持ちの良い青空が広がり、温かな陽気の昼下がり、店番をしていた私の元へ和哉さんのお母さんが訪ねてきた。
勇哉は買い物に行く父と母にくっついて行ってしまったため家にいない。
見られなくて良かったとホッとすると同時に、なぜ和哉さんのお母さんがここにと体の中で動揺が広がっていく。
「結衣さん、お久しぶりです。私のことを覚えていらっしゃいますか? 八木沢和哉の母です」
「もちろん覚えています。お久しぶりです。……あの、私に何のご用でしょうか?」