見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました


「あの……今日はいったいなんのご用でしょうか」


沈んだ声で問いかけると、和哉さんのお母さんが視線をあげて、私を見た。


「三年前のことをはなしたくて。……ごめんなさい。あの日、私が結衣さんに言った言葉は、事実ではないの」

「じっ、事実ではないって、どういうことですか?」


知ってる、と心の中で噛みつきつつ、初めて聞いた風に見えるように精一杯驚いてみる。

ちょっぴり声が大きくなってしまって、不自然に思われてないか不安になるが、和哉さんのお母さんの心痛な面持ちは変わらず、ホッとする。


「私は、あなたにひどいことをしてしまったわ。和哉は、本当は海外になど行ってないの。実はあの時……事故に遭ってしまって病院に」

「じ、事故って。和哉さんは無事ですよね」


言いながら、和哉さんのお母さんが座っているその席で、楽しげに語らいながら夕ご飯を食べていた和哉さんの姿が脳裏に浮かぶ。


「えぇ、無事です」


うん、無事なのも知ってると遠い目をしてから、私は小さく息を吸い込み、今まで抱えていた思いをぶつける。

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