見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「金城グループのお嬢さんとの結婚はヤギサワホールディングにとって魅力的な話で、ヤギサワのプラスとなるなら、いずれ社長となるあの子にとっても良い話に決まっていると、私利私欲を押し付けてしまった。……私の身勝手な感情だったわ。夫は渋い顔をしていたから」
頭を押さえた手が震えている。顔は後悔で歪められていて、あの嘘に苦しめられていたのは、私だけじゃなかったと気付かされた。
「結衣さんにも、和哉にも、申し訳ないことをしてしまった。本当に、本当にごめんなさい。なんとお詫びをしていいか」
和哉さんのお母さんは私と視線を合わせた後、頭を下げた。その姿に、またちくりと胸が痛む。今は私の方が騙している状態だからだ。
「顔をあげてください。私にはヤギサワホールディングスの力になれる強みがないので、そう思われても仕方のないことだと思います」
私は椅子から腰を浮かせて、和哉さんのお母さんの肩に触れる。
しばらくして顔は上げてくれたけれど、「ごめんなさい」と謝罪を繰り返し、すぐに視線は落ちていった。
そのまま黙ってしまったため、何か話さなくちゃと私は言葉を絞り出す。