見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

手を震わせながら携帯の番号を書き連ね、私に差し出してきた。私は両手でそれを受け取り、「わかりました」と返事をした。


「追い返される覚悟もしていたけれど、結衣さん、私の話を最後まで聞いてくれてありがとう。今日はこれで失礼させてもらいますね」


和哉さんのお母さんはゆるりとお辞儀をして、歩き出した。


「あなたの実家が酒屋だということを覚えていたから、秘書に場所を探してもらったのよ。そうしたら、和哉が雨の中彷徨っていた場所がこの近くだって言われて」

「かっ、和哉さんがこの近くに?」

「えぇ。結衣さんのことを無意識に探していたのかもしれないわ……そのうち、あの子がここに来てしまうこともあるかもしれない。その時は、どうかよろしくお願いします」


後を追う形で廊下を進んでいる途中でそんな話をされ、「はい」と頷いたあと、和哉さん近いうちに来ると言っていましたと苦笑いする。

玄関から外に出ると、店の駐車場に停まっていた高級車がゆっくりと発進し、玄関の前に横付けした。

そして運転席から五十代くらいの男性運転手が素早く降りてきて、後部座席のドアを開ける。

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