見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
和哉さんは、私の手をしっかりと握りしめ、彼女をきつく見据えて自分の想いを放つ。
「あなたとは結婚できない。誰よりも、何よりも、彼女を大切に思っているから。俺は彼女と結婚する」
それは本気の言葉じゃない。
私を好きな演技だと知っているのに、和哉さんの言葉に胸が熱くなる。
鼓動が高鳴っていく。気恥ずかしくて、頬まで熱くなる。
何より、心の奥底で嬉しがっている自分がいた。
和哉さんは彼女に向かって頭を下げた。
「どうか、わかってもらいたい」
「わかりたくもないわ。私はずっと和哉さんだけを思い続けてきたのに。彼女はいったいどこの誰? この私が負けるほどの家柄?」
家柄って……と、女性から飛び出した発言に思わず笑いそうになる。
けれど女性はもちろん、女性の視線を受け止めている和哉さんもどこまでも真剣で、私は笑みを引っ込め、ひとり取り残されたような気持ちになっていく。
「結婚相手に、そんな付加価値求めていない。ただ、彼女のそばにいたい。彼女と一緒だったら、どんな困難も乗り越えていける」
「私だって和哉さんの力になれます。和哉さんだけじゃない、ヤギサワの役にだって立てるはずだわ」