見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

ヤギサワ。もうひとつ飛び出しワードは、和哉さんの苗字と同じ。

彼が仕事上の繋がりがある縁談だと言っていたのを思い出し、私はあぁと眉根を寄せる。

なんとなく想像していたのは、部長とか専務とか、会社の上司から勧められた縁談。もしくは、取引先から気に入られて、娘を紹介されたか。

けれど、同じ取引先であっても、親が会社経営していて、その相手だというのなら色々と思惑が絡むだろうし、話は複雑かもしれない。

軽い気持ちで受けた恋人役だった。けど急に、事の重大さや責任の重みがのし掛かってきて不安でいっぱいになる。

和哉さんへと顔を向けた時、彼も私へ視線を落としてきた。

本当にこれで良かったのか。不安は膨らむが、言葉にできずじっと見つめていると、ふっと彼の口元に笑みが浮かんだ。


「俺は、自分が望む女性と結婚したい」


発せられた声音は、まるで私を安心させるかのように力強くて、心に優しく沁み渡る。

私が小さく頷き返すと、和哉さんは女性へと視線を戻し、再び表情を厳しくさせた。


「それはあなたではない。すまない」


彼女は唇を震わせ、食い下がろうとするが、何も言葉は出て来なかった。力なく視線を落とし、息をつく。

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