見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「あぁ、私は本当になんてことを……結衣さん、ごめんなさい。……本当に、ごめんなさい」
声を震わせ泣いている和哉さんのお母さんへと慌てて歩み寄り、そっと肩に手を乗せる。
すると、私の横で様子をうかがっていた勇哉も手を伸ばす。
小さい手に頭を撫でられ、和哉さんのお母さんは声を詰まらせた。そして、「ありがとう」と小さな手を慈しむように両手で包み込んだ。
「結衣さん、お電話待っているわ」
運転手の手を借りて立ち上がってから、私に少し悲しそうに微笑みかけると、和哉さんのお母さんは車に乗り込む。
走り出すまでずっと、窓の向こうで涙を流しながら私たちを見つめていた。
「ごめんね、結衣。あちらさんが帰るまで粘ろうと思ったんだけど、勇哉が帰るってきかなくて」
隣に立った母に謝られて、私は首を横に振る。
「私こそ、無理言っちゃってごめん。勇哉をいつまでも隠し続けられないだろうし、きっと良い機会だったんじゃないかな」
「そうね。大丈夫、次はきっとうまくいくわ、結衣」
お母さんは私の背中を優しく叩いて、微笑む。