見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
産まれた環境で結婚相手に相応しいかどうかを判断するなんてこと、和哉さんだって嫌なはずだ。
ゆっくり目を開けて、一歩一歩力強く、和哉さんに向かって歩き出す。
「私たち本当に恋人同士だったのよ。どうして和哉さんは信じてくれないの? せめて否定はしないで。愛し合った日々をなかったことにされるのは耐えられない」
聞こえたセリフに目を見開く。
金城さんは、和哉さんが記憶を失ったことを良いことに、自分が恋人だったと主張している。
何を言ってるんだと腹が立ったが、嫌悪感たっぷりの顔で金城さんを見下ろしている和哉さんを目にし、怒りがすっと引いていく。
和哉さんはもう記憶を取り戻しているため、当然の反応だ。
金城さんが和哉さんの腕に触れたのを目にして嫉妬心が沸きあがり、進む速度が自然と上がる。
彼の恋人は私。今も、昔も、これからもずっと。それだけは譲らない!
勇哉が和哉さんに気がつき、「あっ」と声をあげ、必死に手を伸ばす。
「パパ!」
高く響いたその声に和哉さんがハッとしたように振り向き、次の瞬間、鬼のようだった形相が温かな笑顔へ一変する。