見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

彼の胸元に触れた私の左手に視線をとめ、金城さんは奥歯を噛み締めた。

今日私は左手の薬指に、先日彼から受け取った指輪をつけてきている。


「つけてくれたんだな」


それに和哉さんも気付き、嬉しそうに口元を綻ばせた。

ずっと指輪をつけられなくて申し訳ないことをしたなという気持ちだったけれど、彼が喜んでくれたことで私も嬉しくなる。

ついほっこりしそうになったが、金城さんに怒りに満ちた眼差しで睨みつけられ、体が恐怖ですくみ上がった。

しかし、すぐに和哉さんが私を支えるように、腰に添えていた手に力を込めた。


「おい」


乱暴な声で和哉さんに呼びかけられ、今度は金城さんが恐怖で顔を強張らせ、後ずさる。


「俺はもう忘れない。愛しくて大切な存在も、……そしてこの三年間、お前が俺にどんな嘘をつき続けたかも」


鋭い眼差しと共に冷たい言葉も浴びて、金城さんは屈辱に耐え切れないかのように唇を震わせ、拳を握りしめた。


「和哉さん、良いんですか? 私をぞんざいに扱って。このことを父に言えば激怒し、強いては金城グループを敵に回すことにもなりますよ。そうなったら、ヤギサワホールディングスは大きな痛手を追ってしまいますね」


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