見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
言いながらだんだんプライドを取り戻していったのか、彼女の表情は徐々に高圧的に変化していく。
しかし、その余裕は長く続かなかった。
「面白い。受けて立とうじゃないか。金城グループなら潰し甲斐がありそうだ」
和哉さんが至極楽しげに、物騒な言葉を発する。
謝罪されることはあっても、その気になるとは思っていなかったらしく、金城さんは視線を泳がせ、あからさまなほど怖気付いた。
「今すぐ消えてくれ。ついでに、金輪際俺の視界に入るな。不愉快で仕方ない」
苛立ちを吐き出すようにそう訴えかけ、そして和哉さんはとどめを刺すように軽蔑の眼差しを向ける。
「さようなら」
低く響いた冷たい声音に、勇哉は和哉さんの顔をじっと見つめたあと、呆然と立ち尽くしている金城さんに対し不思議そうに首を傾げてみせた。
「ばいばい!」
飛び出した無邪気なひと言に、思わず笑ってしまいそうになる。
それは和哉さんも同じで、毒気を抜かれた顔になったあと、堪えきれないままにふふっと笑う。
金城さんだけは幼い子どもの何気ないひと言すら癪に障ったようで、「付き合っていられないわ」と捨て台詞を吐いて私たちに背を向け歩き出した。