見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

その姿をバックミラー越しに見て、和哉さんは笑みを浮かべると、「行くぞ」とひと声かけて車を発進させる。

そこから十五分ほどで、和哉さんの実家に到着した。

長く続く外壁に沿って進み、やがて減速すると、すぐ先に見えるシャッターが自動で上がっていく。

そこへバックで車を入れると、「着いたぞ」と和哉さんが車のエンジンを切った。

勇哉と一緒に車を降りた勇哉が、「くるまいっぱいだね!」と目を輝かせる。

駐車場には他にも三台ほど高級車が停まっていて、興味のままに近づこうとする勇哉を慌てて引き留めた。

駐車場内のドアの向こうには綺麗な日本庭園が広がっていて、石畳を進んでいくと、大きな玄関へと辿り着く。

二階建ての立派な日本家屋に圧倒されて玄関先で立ち尽くしていると、「どうぞ」と戸を開けた和哉さんが振り返って笑う。

勇哉は和哉さんのそばを離れることなく、ただ物珍しそうにキョロキョロしている。

「お邪魔します」と玄関の中に入ると、廊下を挟んで、大きな襖が視界に飛び込んでくる。

襖は開け放たれていて、その先にある和室が奥へ奥へと続いている。

奥行きのある空間に、屋敷がとんでもなく広いということだけは分かり、さすがヤギサワホールディングスと目眩を覚えた。

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