見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

和哉さんの問いかけに、お父さまはきっぱりと答えて、受話器を持ち直した。


「どうやらうちの息子と、そちらのお嬢さんは縁がなかったようだ。好いてもらっているのはありがたいが、うちの息子はやっぱりお嬢さんにふさわしくない。よりよりご縁に恵まれることを祈ってる」


口調は淡々としているのだが、所々意見は譲らないといった響きを伴いながら言いきり、和哉さんのお父さんは電話を切った。

そしてこちらに体を向け、ゆっくりと歩み寄ってきた。


「金城から電話がきて、驚いたよ。お前、いつの間に記憶が戻ってたんだ」

「もうすぐ三ヶ月になるかな」

「さ、三ヶ月……そうか。ここ最近、状態がひどくなって心配していたが、私たちはまんまと和哉に踊らされていたというわけか」


浮かべられた疲労感たっぷりの笑みに、和哉さんの演技でどれだけ心配させられていたのかが伝わってくる。


「話してくれたら良かったのに」

「それはお互い様だろ?」

「……そうね。結衣さん、本当にごめんなさいね」


呟きにすかさず和哉さんから鋭い指摘を入れられ、お母さまは私へと再び謝罪し、深く頭を下げてくる。

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