見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「そんなことがあったんですね」
「その時、言ったんだ。あの彼女が、俺が想いを寄せている女性だと。前々から、そういう女性がいることは伝えていたけど、なかなかわかってもらえなくて。でも今日でやっと納得してもらえたと思うよ」
確かに気が強そうなあの様子からして、今日がすべて初耳だったとしたら、すんなり「わかりました」と受け止めたりは、絶対にしなかっただろう。
これまでいくつものやり取りがあった上で、今日、やっと納得したということだ。
私を見て吐き出された「あなた」というあのひと言に、怒りが深く込められていたのも納得で、自分で感じた以上に、恨まれていたのかもしれないと考え、私は背筋を震わせる。
しかし、窓の向こうに見えるレストランの建物へと視線を移動させると、恐怖心よりも徐々に空腹感が大きくなっていった。
店内を歩いている最中、視界に入ってきた料理はどれも美味しそうで、ここに来た理由が食事だったら本当に良かったのにと悔しくもなる。
和哉さんからふふっと短く発せられた笑い声につられて彼へと視線を戻すと、しっかり目が合い、笑みが深められた。