見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「そうだよな。もう昼過ぎてるし、腹減ったよな?」
考えていたことが顔に出てしまったようで気恥ずかしくなりながらも、私は素直に頷く。
「はい。お腹空きました」
「このままどこかで食事するか」
「そうしましょう! 和哉さんは、今何が食べたいですか?」
誘ってもらえたことが嬉しくて、テンション高めに問いかけたが、私はすぐにある事に気付いて口ごもる。
それに疑問を覚えた和哉さんから、眼差しで問いかけられ、思ったことを小さく告げた。
「一応、恋人役は終わったのですし、呼び方を前のように八木沢さんと戻すべきだったなって。いつまでも馴れ馴れしいもの」
店員と客という関係でしかなくなった今、きっと以前に戻るのが自然の流れなのだろう。
そう頭では理解しても、心に寂しさが広がる。彼の恋人役をまだまだ続けても良かったのになんて思ってしまうくらいに。
和哉さんは「あぁそうか」と顎に手を添え考え込んだ後、改めて私を見た。
「恋人役をしてもらう必要はもうない。でも、これまでずっと結衣と呼んでいたのを、羽田野さんへ戻すのも、正直寂しい。だから俺は結衣って呼ばせてもらうよ。友人として、これからも」