見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
友人として。飛び出した言葉に思わず目を見張ると、彼は焦ったように視線を泳がせる。
「もちろん、結衣が嫌じゃなければだけど」
「嫌じゃないです。それなら私も、和哉さんって呼ばせてもらいたいです。友人として、これからも色々と話を聞いてもらえたら嬉しい」
たとえ社交辞令であったとしても嬉しかった。もうここで終わりだと思っていたため、そう言ってもらえるなんて思ってもいなかったからだ。
嬉しい言葉にテンションの上がった私の頭を、和哉さんはそっと撫でて、微笑む。
私は心の中が温かさで満たされていくのを感じながら、微笑み返したのだった。
それが六年前の始まりの出来事。
私と和哉さんの友人関係は、その後も途切れることなく続いた。むしろ、互いのことをゆっくり知り、理解し、どんどん仲が深まっていった。
八木沢和哉。二十四歳。落ち着いている彼が私にはもう少し年上に見えていたから、三歳差だったことに驚いた。
しかし、友人を続けて数ヶ月後、もっと驚き、と同時に納得し腑に落ちたこともあった。
彼の勤め先がヤギサワホールディングスだったこと。父親が代表取締役社長で、和哉さんはいわゆる御曹司だったのだ。