見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

そこから降りてきたのはやっぱり和哉さんで、真っ直ぐ私の前までやってきた。


「今のは?」

「……あ、の……。会社の先輩です、けど」


少し冷たい口調に思わず怯んだ後、事実を伝える。

すると抑揚のない声で「そっか」と返事をされ、私はハッとさせられる。

もしかしたら、今まで男性とふたりっきりだったと勘違いされてしまっただろうかと、ほんの一瞬目の前が暗くなる。

しかも誕生日だ。変に誤解されるのだけは嫌だと焦りだす。


「じ、実は、同僚のみんなでご飯を食べに行っていて、先輩とは帰る方向が同じで、送ってもらったっていうか、本当にそれだけで……あの、本当にふたりっきりとかでは……」


好きな人に誤解されたくない一心で、言葉を懸命に並べていくと、そっと和哉さんが私の唇の前に指をかざす。

息をのむように言葉を途切らせて、和哉さんと見つめ合う。

やがて、彼は私から視線を逸らし、無造作に前髪をかき上げた。


「参ったな。自業自得だってわかってるのに、俺以外のヤツが結衣の誕生日を祝ったのかと思ったら、悔しくてたまらない」

「……和哉さん」

「嫉妬してるんだ」


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