見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
きっと彼の両親は、後継ぎである息子には大企業のお嬢さんとの結婚を望んでいるんだろうなと考え、どうしても気持ちが重くなる。
和哉さんはとても誠実で、どんなに仕事が忙しくても私との時間を大切にしてくれるような人だ。
私と真剣に付き合ってくれているからこそ、将来までちゃんと考えてくれることも、会話の節々からちゃんと伝わってくる。
私だって彼を心から想っている。大好きだ。
……でも、素敵すぎる和哉さんと平凡すぎる自分に差がありすぎて、本当に私でいいのかと彼との未来に自信を持てないのも正直なところ。
最近、和哉さんはヤギサワホールディングスの専務に就任した。
こうして側にいると、あまり感じないけれど、ひとりでいる時にCMや看板などでヤギサワホールディングスの名前を目にしてしまうと、彼を別世界の人に感じてしまう。
ソファーがキシッと音を立て、ハッとする。
後ろを振り返ると、背もたれに手を置いた格好で和哉さんが立っていた。私を見下ろす彼の眼差しはどことなく苦しげで、胸がちくりと痛む。
「すまない。結衣のいる場所で忠告することじゃなかったな。嫌な思いをさせてしまった」