見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

そんな田中さんの手をそっと押しやって、「変な想像しないの」と嗜めるけど、私も堪えきれなくなって僅かに笑みを浮かべた。

「また来週」と言葉を交わして、私は会社を出た。最寄り駅へ足早に向かいながら、スマホを手に取る。

時刻は六時を過ぎたところ。和哉さんとの待ち合わせは六時半で、ここから待ち合わせの場所である公園までは電車と徒歩で二十分くらいかかる。

あまりもたもたしていられないなと、胸を高鳴らせながら道を急いだ。

公園で落ち合って、食事へ。

和哉さんから聞いている今夜の予定はそこまでだけど、田中さんの言う通り、素敵な甘い夜になる予感はしている。

彼の恋人になれた二十四歳の誕生日に続いて、二十七歳となった今年も特別な誕生日になるかもしれない。

これまではほのめかす程度だったのに、最近は和哉さんが結婚の意思を強く言葉にし始めている。

覚悟ができない私に、繰り返し熱くプロポーズしてくれるのだ。

プロポーズの返答を求められたら……ううん、仮に求められなかったとしても、今夜こそ、ちゃんと返事しよう。

私をあなたのお嫁さんしてください、って。

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