見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
車の運転中で気づいていないか、それとも何かトラブルがあってスマホを見られない状況なのか。
彼が遅くなる理由になりそうなものを頭に思い浮かべてみたが、なんとなく腑に落ちなくて、私は改めて通りへと目を向ける。
先ほどまであった車の往来がぴたりと途切れ、道路はしんと静まりかえっている。急に物悲しくなり、私は表情を曇らせた。
「和哉さんはもうすぐ来る」
自分に言い聞かせるように声に出して呟くも、来てくれるよねという不安は消せない。
『もしかして、お仕事終わりそうもありませんか?』
メッセージを送信してじっと画面を見つめるも、既読がつく様子はない。
スマホと道路を交互に見つめて、待ち人が来ないまま時間だけが過ぎ、時刻は七時を示した。
既読もつかず、何のアクションも返って来ないまま、私からのメッセージだけが積み重なっていく。
「本当にどうしたんだろう」
どうして連絡をくれないのか。今どこにいて、何をしているの? ……遅れているだけで、ちゃんと来てくれるよね?
心細さか加速する中、どこか遠くで鳴り響く救急車のサイレンの音を耳が拾う。