見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

車の運転中で気づいていないか、それとも何かトラブルがあってスマホを見られない状況なのか。

彼が遅くなる理由になりそうなものを頭に思い浮かべてみたが、なんとなく腑に落ちなくて、私は改めて通りへと目を向ける。

先ほどまであった車の往来がぴたりと途切れ、道路はしんと静まりかえっている。急に物悲しくなり、私は表情を曇らせた。


「和哉さんはもうすぐ来る」


自分に言い聞かせるように声に出して呟くも、来てくれるよねという不安は消せない。


『もしかして、お仕事終わりそうもありませんか?』


メッセージを送信してじっと画面を見つめるも、既読がつく様子はない。

スマホと道路を交互に見つめて、待ち人が来ないまま時間だけが過ぎ、時刻は七時を示した。

既読もつかず、何のアクションも返って来ないまま、私からのメッセージだけが積み重なっていく。


「本当にどうしたんだろう」


どうして連絡をくれないのか。今どこにいて、何をしているの? ……遅れているだけで、ちゃんと来てくれるよね?

心細さか加速する中、どこか遠くで鳴り響く救急車のサイレンの音を耳が拾う。

< 37 / 155 >

この作品をシェア

pagetop