見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

和哉さんが幸せな瞬間を運んできてくれるのを待ち望みながら、無常にも流れていく時間に絶望し、しかしそれでもやっぱり諦められなくて彼の姿を探し求める。

十時を過ぎて、ひと気もさらに無くなり、スマホの電池残量も心許なくなり、私は肩を落としてメッセージを送る。


『来ないようなので家に帰ります』


深く息をついて、諦めたように駅に向かって歩き出した。

和哉さん、本当にどうしたのだろう。

そればかり考えながらやってきた電車に乗り込み、自宅の最寄り駅でぼんやりと下車し、駅前のロータリーに彼の車が停まっていないか見回す。

変わらず既読すらつかない状況でいるわけないとわかっているのに、それらしき影すらないことに一気に悲しくなる。

自宅のマンション前でも、迎えに来てくれる時に大抵車を停める場所がガランとしていて、切なさに押しつぶされるように胸が苦しくなる。

無言のまま帰宅し、玄関先で動けなくなる。

我慢していた涙が、目から一筋流れ落ちていった。


「和哉さんのバカ」


いくら忙しくたって、スマホをチェックする時間くらいあるだろと思ってしまうし、来られないならたった一言だけで良いから連絡が欲しかった。

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