見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
和哉さん、あの中にいるんだろうな。
しんみりと考え、気持ちが落ちかけたが、すぐさま私は雑念を追い払うように首を横に大きく振る。
公園内を突っ切って近道しようと、水溜りを避けながら中へと足を踏み入れた。
ひと気のない公園を懐かしみながら進んでいたが、とある姿に気づいて思わず足が止まった。
道沿いのベンチに俯きがちに座っている男性がいた。
この雨の中、傘もさしていないからずぶ濡れだ。
傘の柄を持つ手が震えた。
見間違うはずがない。そこにいるのは、和哉さんだ。
まさかこんな偶然が起きるなんてという驚きと戸惑い。
そして、傘もささず、しかもこんな時間にベンチ座っている姿が奇妙にも見え、いったい彼はどうしちゃったのかと疑問まで浮かんでくる。
彼に会えた奇跡に胸が高鳴っている。
彼にもう一度会えたら恨みつらみをぶつけたいと思っていたのに、そんな気持ちが鳴りを潜めてしまったくらい、純粋に嬉しかった。
止まっていた足を、一歩一歩、彼に向かって進めていく。
声をかけようかどうしようかと緊張までしていたが、和哉さんの表情を近くではっきりと見て取り動揺する。