見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
気まずくて心が押しつぶされそう。
……でもきっと、これでいい。私たちが終わっている事実は変わらないのだから。
「さようなら。どうかいつまでもお元気で」
できるだけ冷静にそう告げて、私は彼に背を向けた。後ろを振り向かないよう拳を握りしめて、足早に公園を離れた。
ずぶ濡れの状態で電車に揺られて一時間、徐々に窓を打つ雨も緩やかになり、実家の最寄り駅に着いた時には止んでいた。
公園でのひと時を思い返しては、やっぱり話くらい聞いておくべきだったかもと後悔を募らせつつ、のろのろと家への道を歩いていく。
スマホには、雨を避けつつ動物園を満喫中という報告が圭人からいくつか届いている。
それを繰り返し見返していると、突然スマホが登録されていない番号からの着信を知らせた。
「……は、はい」
恐る恐る電話を受けて三秒後、「どちら様ですか?」と問いかけようとした時、安堵のため息が聞こえてきた。
「番号が変わってなくて、良かった」
「和哉さん!?」
電話番号を覚えているとは思っていなかったため、驚きで声が裏返る。
「ごめん。嫌だろうけど、俺はどうしても結衣と話がしたくて」