見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
誰もいない家に飛び込んで、そのまま自室に直行する。大慌てで着替えを済ませ、必死に髪を乾かす。
電車では乗り継ぎも含め一時間かかるが、高速道路を使って車を飛ばせば三十分くらいで到着してしまう。
ついさっき、圭人からそろそろ動物園を出ると連絡が来た。
買い物をしてから家に帰るらしいから、和哉さんの方が早く到着するだろうけど……、道路が混んでいたらと思うと気が気じゃない。
身なりを整えて、いつでも飛び出せるようにとそわそわしながら窓の向こうを見つめること十分、見慣れぬグレーのセダン車が実家の前に停止した。
そこから降りて来たのは和哉さんで、ほどなくしてインターフォンが鳴った。
「……本当に来たんですね」
玄関のドアをわずかに開けて確かに本人だとしっかり確認してから、私は外に出た。和哉さんは苦笑いしつつ、店の入り口の方へと視線を伸ばす。
「今日は定休日なんだな」
「はい。みんな出かけてますけど」
「今は、実家の仕事を手伝っているのか? それとも別の場所に働きに……」