見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「……本当は、私のことめちゃくちゃ怒ってますよね。ごめんなさい。本気で反省してます」
じっと見つめて謝罪すると視線の先で、彼が瞬きを繰り返す。
「俺、怒ってないよ?」
「私のシフトを避けて来店していたじゃないですか。それって私と顔を合わせたくなかったからですよね」
「それは違う。ここ最近仕事が忙しくて、なかなか君がいる曜日に行けなかっただけだ」
本当だろうか。言葉通りに受け取りたい一方で、疑いたくはなくても疑問符が頭に浮かぶ。
すると彼はちょっぴり気恥ずかしそうに続けた。
「本当だよ。実は、今日こそ顔を出そうと思ってたんだけど、オーダーストップに間に合わなくて……、だからここで君を待ってたんだ」
君を待っていた。そこに特別な感情など含まれていないと分かってはいても、ついドキリとしてしまい、ついソワソワと視線を彷徨わせる。
「店長さんから、君がひどく気にしていると聞いていたから」
「そ、そうだったんですか。逆に気を使ってもらってしまったんですね。すみません。ありがとうございます」
気持ちを取り戻すように、私は改めて彼を見上げて、はっきりと気持ちを告げた。