見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「都内の病院だが……どうして海外だと思った?」
鋭い指摘に、私はぎくりと身を竦めた。
理由を正直に話した方が良いのか、それとも話さないべきか考えていると、和哉さんがそっと手を伸ばし、私の手の上に重ね置いた。
「結衣の話も聞かせて欲しい」
重ねた手をぎゅっと握り締められ、心を決める。言葉を選びながら、ゆっくりと話し出す。
「どうして海外の病院かと思ったかは、……聞いたからです。和哉さんは……海外支社へ行ったと」
「誰からそんなことを」
「……和哉さんの、お母さんから」
私の言葉で和哉さんが唖然とする。
ショックを受けているようにも見え、やっぱり話さなかった方が良かっただろうかと、不安になる。
「それはいつの話だ」
「……三年前です。和哉さんと連絡がつかなくなってから、一ヶ月後くらいに」
意識が回復した時期とかぶっていることに、和哉さんも思うところがあったのか、わずかに目を閉じて苛立ちの混ざったため息をつく。
「なるほど。母さんに俺が海外支社に赴任したなんてそんな嘘をつかれたら、結衣はそれ以上どうすることもできないよな。……いろいろ腑に落ちたよ」