見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
和哉さんに呆気にとられた顔をした。それを信じたのかと言われているような気持ちになり、私は少し不貞腐れる。
「仕方ないでしょ。あの時は追い詰められてたし、和哉さんが私との付き合いを嫌になっていたとも言われたし、すっかり信じちゃったの」
「そ、そんなことまで? ……許せない」
重なっている彼の手にわずかに力が込められた。
和哉さんの更なる怒りが伝わってきて、今のは言わなかった方が良かっただろうかと苦笑いする。
この先あるだろう、和哉さんと和哉さんのお母さんの衝突を想像する。
もしこちらに火の粉が飛んできたとしても、勇哉が巻き込まれるのだけは避けないとと強く思った。
「俺の状態を伝えてくれさえすれば、空白の三年は生まれなかったはずなのに」
確かに和哉さんの言う通りだ。
事故に遭ったと聞いたら、大急ぎで病院に向かっただろうし、私のことを忘れてしまっていたとしても和哉さんへの気持ちは変わらない。
私はずっと彼のそばにいただろう。
どうしてこんな嘘をと悔やむ一方で、何を思ってこんな嘘をついたのかも、なんとなくわかってしまう。
「きっと、和哉さんのお母さんは、和哉さんが私ではなく別の女性と結婚するのを望んでいたんじゃないかな」