見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
「……そうかもな。入院してた頃から、やたらとまたあいつが俺の前に現れるようになったし、母親からもしつこく結婚を勧められてた」
「あ、あいつ?」
あいつと言うワードに思わず反応してしまう。和哉さんのそばに女性がいると言う点は事実の可能性が出てきたからだ。
「覚えてるか? 俺の縁談の話を潰すのを手伝ってもらった時に、会った女性のことを」
「覚えています。今も鮮明に」
もちろん忘れるわけがない。
あの出来事を通して私は和哉さんと仲良くなったし、彼女の存在は今もなお私の劣等感を刺激し続けている。
「俺の記憶は父の会社で働き出した辺りから消えてしまっていた。母から「あなたたちは三年もお付き合いしていたのよ」って言われて、そうなんだと信じるしかなくて。でも俺は彼女の言動が気に障って仕方なくて、本当に付き合っていたのかと不思議だった。何を言われても彼女と結婚したいと思えなくて、心のままに拒否し続けてきた」
本能で拒絶していたのかと苦笑いするも、心の片隅ではホッとしている自分がいる。
そのお陰で、和哉さんが誰かの旦那様にならずに済んだのだから。