見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました


「実は今日も、彼女と母親が朝から揃って俺の前に現れたものだから気が滅入ってしまって、なにもかも嫌になってしまって、会社から逃げ出してきた」

「そういう理由だったんですね。私も、公園で和哉さんを見かけたとき、まさかと思いました。どうしてこんな時間にいるんだろうとも。今更ですけど、会社に戻らなくてお仕事の方は大丈夫ですか?」

「結衣に今から行くと電話で話したあと、今日は休むと秘書に連絡入れてある。……で、そのあとスマホの電源を落とした。記憶を失ってから、俺ずっと情緒不安定だったから、もしかしたら今頃、連絡つかないって両親は慌ててるかもしれないな」


そう言って、和哉さんがにこりと笑う。つられた私も微笑んだが、公園で会った時の彼の沈み切った表情を思い出すと、不安に押し潰される寸前だったのかもと想像し切なくなる。


「結衣は、この三年間でどんなことがあった?」

「あ……ええと……。別に」


しんみりしていると横から明るく問われ、動揺で目を泳がせる。

どんな事があったかと聞かれて真っ先に思い浮かべてしまうのは、勇哉を出産したこと。

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