見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
和哉さんは父親なのだから子供のことを話すべきなのだろうけど、言うのが正直怖い。
和哉さんに喜んでもらえなかったら落ち込むし、私との結婚は認めないけど孫は欲しいなんて和哉さんの両親に求められでもしたら……。
この先、母親としてしっかり勇哉を守り抜けるか不安だ。
「何かあった顔だな。俺には話せないことなのか?」
疑うようだった彼の眼差しが、寂しそうな色合いへと変わっていく。私は言葉を選びながら、ぽつりぽつりと話し出す。
「あったよ。……いつかちゃんと話すから、もう少しだけ待って」
「……わかった。言いたくなったら言ってくれ。俺は待つから、結衣のそばで」
和哉さんが私の手を掴み取り、甘く囁きかけてくる。私を見つめる眼差しからも色香を感じ、思わず息をのんだ。
「せ、せっかくだし、何か飲みましょう。私、買ってきますね」
ぎこちない動きで和哉さんの手から自分の手を引いて、そのまま車の外に出た。
和哉さんの色気に当てられ、顔が熱い。ここ二年、生活の中心は勇哉で、私はずっと母親として生きてきた。
こんな風に女として心がときめくのは久しぶりで、なんだかこそばゆい。