見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました
店に向かって進んでいく途中で、私の隣に和哉さんが並んだ。
「昼飯を食べていないから腹が減った。なにか軽く食べたい」
「そ、そうですか」
そろそろ勇哉たちが帰宅する頃で、私も夕方の今の時間くらいには家に帰ると言ってある。
勇哉のことも気にかかるし、コーヒーを飲みながら帰れたらと考えていたのだけれど、お腹が空いているのなら仕方がない。
店の中に知り合いはいませんようにと願いつつ、駐車場奥からコーヒーショップ入り口へと向かっていくと、キキッとブレーキ音が響き、声がかけられた。
「あれ? 結衣ちゃんじゃないかい?」
ぎくりとしながら歩道の方へと振り返ると、隣の家の奥さん、虹川さんが自転車に跨がった状態でこちらを見ていた。
危惧していた通り、和哉さんを興味津々の顔で見ている。
「こ、こんにちは」
私は愛想笑いをしたまま、和哉さんの腕を引っ張って、その場から離れるように店の中へと急いだ。
これで確実に、私が男性といたことがお母さんに伝わる。誰と一緒にいたのと、早ければ今夜にでも聞かれるかもしれない。
「やっぱり、俺と一緒にいるのを見られたくないみたいだな」