見捨てられたはずなのに、赤ちゃんごとエリート御曹司に娶られました

呟かれたぼやきを聞かなかったことにしながら、店の中に入り、レジに並ぶ。

コーヒーだけでなく、私はフルーツタルト、和哉さんはサンドイッチを注文し、それらが乗ったトレーを手に空いている席へと移動する。

知っている顔が店内にないのをさり気なく確認し、ほっと息をついたあと、テーブルを挟んで座った和哉さんから物言いたげな目で見られ、そっと視線を逸らす。

ここのケーキやマフィンをよく買いに来るなんていう他愛無い話だったり、コーヒーを飲みながら今度元バイト先のカフェに行かないかと誘われたりと、物静かに言葉を交わしては揃って口元に笑みを浮かべる。

こうして向かいあって食事をしていると、三年前に戻ったみたいで泣きそうになる。

それにやっぱり、サンドイッチを食べて美味しそうに笑ったその顔が勇哉と重なり、血のつながりを感じてしまう。

和哉さんと勇哉と私で、食卓を囲んだらどんな感じだろう。想像の中の私たちは、みんな笑顔で穏やかな空気に包まれていた。

和哉さんと勇哉を引き合わせてみたい。勇哉はきっと喜ぶと思うけど、和哉さんは笑顔になってくれるかな。

もっと本音を言えば、……私は和哉さんとやり直したい。彼を忘れた振りはできても、心までは偽れない。

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